代理母出産(代理出産)とは?リスク・メリット・方法。日本では禁止、タイ・インドで盛ん?

かつて向井亜紀・高田延彦夫妻が行ったことで話題になった、代理母出産。いったいどんな制度なのかまとめてみました。

 

代理母出産は2種類ある

代理母出産とは…

代理母出産(だいりははしゅっさん、だいりぼしゅっさん、英:surrogate motherhood)とは、ある女性が別の人に子供を引き渡す目的で妊娠・出産することである。代理出産(だいりしゅっさん)と略される場合が多く、妊娠するという部分を強調して代理懐胎(だいりかいたい)と表す場合もある。また、その出産を行う女性を代理母(だいりはは)または養母出産という。

引用:ja.wikipedia.org

つまり何らかの理由で自身が妊娠・出産できない女性が、子供を引き取ることを前提に別の女性に妊娠・出産してもらうことを言います。
代理母出産には、実は2種類あります。

  • ホストマザーフッド
  • サロゲートマザーフッド

の2つです。
ホストマザーフッドとは、夫の精子と妻の卵子を体外受精させてできた受精卵をまったく別の女性の子宮に移植し、妊娠・出産してもらうことを指します。つまり生まれてきた子供は、遺伝的には「夫妻の子」にあたります。卵巣があり、妊娠に適した卵子が採取できることが条件ですので、基本的には子宮のない人が行う方法といえるでしょう。
それに対してサロゲートマザーフッドとは、夫の精子をまったく別の女性に人工授精し、妊娠・出産してもらうことを指します。ですから生まれてくる子供は遺伝的には「夫と、まったく別の女性との子」ということになります。この場合は卵巣も子宮もない方が行う方法と言えます。

代理母出産は日本では禁止されてる?

日本の厚生労働省と日本産婦人科学会は倫理面を考慮し、ともに「代理母出産を日本国内では認めない」という方針を打ち出しています。このため日本では代理母出産は行われていません。しかし法律で禁止されているというレベルではありませんので、罰則規定などはありません。

なお、日本では人工授精についてもAIH(夫の精子を使う方法)のみが行われており、AID(まったく他人の精子を使う方法)は行われていません。生殖補助医療技術の進歩に伴い、今後法整備が求められてくる分野と言えるでしょう。
病気や先天的な異常などで子宮、卵巣を失って、「代理母出産で子供をもちたい」と考える夫婦は、海外でその希望を叶えることになります。

代理母出産が多く行われるのは、インド・タイ

代理母出産が認められている国はたくさんあります。アメリカの一部、イギリス、インドやタイでは、代理母出産がさかんに行われています。アメリカの一部やイギリスなど、代理母出産が認められている国もありますが、これらの国に比べ、報酬が安くて済むことからインドやタイが多く選ばれているものと思われます。

アメリカでの代理母出産は渡航費込みで2000万円前後、インドやタイでは数百万で行えるといわれています。逆にインドやタイでは高額の報酬を求めて代理母という道を選ぶ女性がいるのです。

代理母出産で生まれたこどもは誰の子供?

日本の民法では「産んだ女性が母」という規定になっています。かつて向井亜紀・高田延彦夫妻が海外で代理母出産した子を「自分の子」として出生届を出しましたが受理されず、東京家庭裁判所に提訴しました。しかし結果としては「産んだ女性が母」という決まりは覆らず、夫妻の子は民法上、「特別養子関係の子」という扱いになっています。

代理母出産のメリット、デメリット

海外の芸能人には代理母出産で子供を迎えた人がたくさんいます。サラ・ジェシカ・パーカー、ニコール・キッドマン、ルーシー・リューなどが有名ですね。ではあらためて、代理母出産のメリットとデメリットを考えてみましょう。

メリット

  • 子宮がなかったり、高齢で妊娠しづらくても自分と遺伝的につながった子が持てる
  • 卵巣がなくても夫と遺伝的につながった子が持てる
  • つわりや美容面など、妊娠中の体の変化のリスクを負わない

デメリット・議論の余地のある問題

費用が高額

これは言うまでもありませんが、ハリウッドのセレブと違って私たち一般人には、代理母出産の費用は高額ですね。顕微授精も高いといわれますが、桁が違います。

妊娠しなかった/流産した場合

人工授精、あるいは受精卵を子宮に移植したからといって、代理母が必ず妊娠するとは限りません。この時も何百万という報酬を支払うのか。流産・死産した場合はいくら、出産に至った場合はいくらと細かく決められている場合もある一方、相手は海外のコーディネーターであり、うまくコミュニケーションがとれなかったり、逃げられたりすることもあります。

異常のある子が産まれた場合

妊娠中に羊水検査などを行うように決められている場合もありますが、そもそも羊水検査ですべての異常がわかるわけではありません。生まれた後で障害が分かり、「高額なお金を支払った以上、異常のある子は引き取りたくないという夫妻」と「貧しくて十分な医療を受けさせてあげられない代理母」の間に挟まれた赤ちゃんはどうなってしまうのでしょうか。

とてもひどい話なのですが、事実、2014年に世界で事例が発生しました。

 報道によれば、代理母となったタイ人の女性(21)が昨年12月に男女の双子を出産したが、代理出産を依頼したオーストラリア人カップルは健康な女の子だけ引き取り、ダウン症候群の男の子は引き取らなかった。

引用:http://www.afpbb.com/articles/-/3022159

代理母が子供を引き渡したくないという場合

1985年にアメリカで「ベビーM事件」と呼ばれる事態が発生しました。妻に持病があり、出産は困難と判断した夫婦が、無職の女性に代理母出産の契約を結びました。女性は9回目の人工授精で妊娠。出産してその子を引き渡せば高額の報酬が手に入る予定でした。しかし、代理母として妊娠していた女性は子供への愛着がわいており、引き渡しを拒みました。

訴訟となり、一度は代理母には一切の権利がないという判決が下りましたが、その後の最高裁判所での裁判の結果、代理母契約は無効とされ、代理母が母親となる判決が出ました。ただし親権は父親(契約した夫妻の夫)にあるとされ、代理母は訪問する権利があるという結論になりました。このように、どんなに高額の報酬のためとはいえ、妊娠している間に母親としての情が湧くことがあるのです。

代理母の扱いについての倫理面

代理母は9か月半もの間自分のおなかで育てた赤ちゃんを、一目も見ることなく引き渡さなければいけません。病院によっては妊娠中の代理母を寮に隔離する方針のところもあり、自分の子にはならない赤ちゃんをおなかに宿した女性たちを一か所に集めて生活させるビジネスに「女性性の搾取」であるとも言われています。

また、契約を履行するために、母体より赤ちゃんを優先させなくてはならないのです。代理母となる女性の尊厳という点でも、まだまだ課題が多いのです。