妊娠中にオススメの食事・栄養素から注言すべき成分までこれでマスター!

妊娠が分かりとても嬉しい気持ちになると同時にやってくるのが、『赤ちゃんはちゃんと育っているのかしら…?』という不安です。検診時にエコーで確認する以外、毎日自分の目で確認する事ができないので、次の検診までの間色々と気になってしまいます。

そのように自分の中で新しい命が成長していると自覚し始めると、特に気になるのが毎日の食事です。今回は、そんな赤ちゃんへの栄養を考えた、“妊娠中の食事”について紹介させていただきます。

【妊娠中に良い効果のある栄養素と食品】

 

1.葉酸

葉酸とは水溶性のビタミンB群の一種で、タンパク質や核酸の合成に働いて細胞の生産や再生を助け、体の発育を促してくれます。

・妊娠中の効果

胎児の細胞分裂が盛んな妊娠初期においては「二分脊椎症」などの神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなり、葉酸はこの神経管閉鎖障害の発症リスクを減らす効果があると報告されています。その他にも自閉症や流産のリスクを低減すると言われています。

妊娠中期にも貧血や巨赤芽球貧血を防ぐ効果があり、授乳期においては赤ちゃんの発育の遅れを防ぐ効果があるといわれています。

・葉酸が多く含まれる食品

たたみいわし、焼きのり、緑黄色野菜(モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリー等)、レバー、納豆、いちご、バナナ、アボカド

厚生労働省が推奨している妊娠中に食品から摂取する天然葉酸の量は1日480㎍です。これは非妊時の2倍で、ほうれん草で言うと一日一袋分になります。しかも、食品に含まれる天然葉酸は熱に弱く水にも溶け出してしまうので調理法も限られ、なおかつ体内に吸収されにくいという、なかなか難しい栄養素なのです。 そこで、特に胎児への影響が出やすい妊娠前~妊娠3ヶ月までの間は栄養補助食品から一日400㎍の合成葉酸を摂取するように推奨されています。一度に沢山摂っても余分な分が尿として排出されてしまうため、サプリメントで摂る場合は、朝・昼・晩と分けて服用する方が効果的です。

・過剰摂取について

葉酸を1000㎍以上摂取すると、葉酸過敏症を起こす可能性があります。症状としては、発熱、蕁麻疹、かゆみ、呼吸障害などです。また、ビタミンB12欠乏症の診断を困難にする可能性もあります。 食品からの摂取で摂りすぎる事はまずありませんが、サプリメント服用の際は用法用量をきちんと守るようにしましょう。

2.亜鉛

体内にある300種類以上の酵素の成分である亜鉛は、タンパク質の合成・免疫システムへの関与・ホルモン分泌の調節など、酵素の働きによる様々な代謝に関係しています。

・妊娠中の効果

細胞分裂を促して骨や皮膚の発育を促したり、免疫力を高めたりする働きがあり、赤ちゃんの中枢神経系の発達に必要な栄養素です。不足すると、母体の免疫力低下やひどいつわりの原因となったり、赤ちゃんの成長の遅れや、早産などに繋がる可能性があります。

・亜鉛を多く含む食品

牡蠣、豚レバー、ほや、卵黄、牛肉、煮干し、切干大根、ゴマ、アーモンド 妊娠時は1日に13mgの摂取が必要と言われていて、非妊時の約1.3倍にあたります。 牡蠣には亜鉛がとても豊富に含まれているのですが、毎日食べるにはお財布に優しくありませんし、豚レバーはビタミンAの過剰摂取が気になります。(後述) 切干大根は妊娠中に摂っておきたい他の栄養素も豊富で、同じく亜鉛が豊富な煮干しと一緒に煮物にして保存しておくと毎日でも無理なく摂れるのでお勧めです。間食に無塩のアーモンドを食べるのもいいですね。

・過剰摂取について

体内に亜鉛が多くなると余分な分は排出されますので、普段の食事で多く摂っても大きな副作用が起こる事はほぼありませんが、サプリメントの服用等により起こる可能性があります。過剰摂取で起こる副作用は、めまいや頭痛、嘔吐等です。また、亜鉛を長期間過剰摂取する事は鉄・銅欠乏に繋がり、免疫力低下、貧血、神経障害等を引き起こします。

3.鉄分

鉄分は赤血球に含まれるヘモグロビンをつくる材料で、全身に酸素を運ぶ働きをしています。

・妊娠中の効果

妊娠中は胎児に鉄分を取られるため、より多くの鉄分が必要になります。妊娠中の貧血はほとんどが鉄分が不足することで生じる鉄欠乏性貧血であり、「妊婦貧血」ともいいます。妊婦貧血になると、全身の酸素不足が起こり、動悸・息切れ、めまい、体のだるさ等の症状があらわれます。 さらに酷くなると胎児に送られる酸素も欠乏し、発育に影響が出る可能性があります。

・鉄分を多く含む食品

レバー類、乾燥ひじき、あさり、カツオ、小松菜、がんもどき、納豆、卵黄、パセリ 妊娠時に必要な鉄分は一日20mgで、非妊時の1.7倍です。

レバー類は鉄分を豊富に含みますが、同時にビタミンAの過剰摂取(後述)が懸念されますので、その他の食品から摂る事をお勧めします。鉄分の吸収率は他の栄養素と比べて低いため、鉄吸収率を上げる食べ物と合わせて食べることがポイントです。植物性の食品に含まれてる鉄分は、動物性の食品に含まれてる鉄分や、タンパク質、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率が上がります。 小松菜の卵とじや、あさりの酒蒸しにレモンを絞ったり、ひじきの煮物に鶏肉を入れたり、と比較的簡単に普段の食事で工夫して摂取する事ができます。 タンニンを含む飲み物は鉄分の吸収を妨げるので、コーヒー、紅茶、緑茶等は一緒に摂るのを控えるようにしましょう。

・過剰摂取について

一日の上限は40mgです。吸収率が低いため、過剰になる事は稀ですが、サプリメント等で一度に大量に摂取すると、嘔吐や下痢、痙攣、昏睡等が引き起こされます。また、長期間過剰に摂取すると肝機能障害を起こす危険性もあります。

4.カルシウム

カルシウムは骨の生成に欠かせない栄養素です。

・妊娠中の効果

妊娠中は胎児の骨をつくるために大量のカルシウムが必要になります。カルシウム不足で胎児に十分な量が行き渡らなくなると、母親の骨からカルシウムを補う為、母体の骨密度が低くなり、歯や骨が脆くなってしまいます。更に不足すると胎児の歯や骨まで弱らせてしまう可能性もあります。また、血液の状態や血行にも影響するので、高血圧になり易くなるといった懸念もあります。 カルシウムの摂取はこれらの事を予防する効果があります。

・カルシウムを多く含む食品

乳製品、小魚類、がんもどき、モロヘイヤ、小松菜、干しエビ、ひじき、納豆 妊娠時は一日に900mgが必要と言われていて、非妊時の1.5倍です。 吸収率は乳製品が50%と高く、乳製品の中でもヨーグルトやチーズは乳酸菌によりタンパク質の一部が分解されているので消化吸収が良いです。スープやみそ汁に牛乳を加えたり、和え物やサラダにチーズやヨーグルトを加える等、毎日の食事に無理なく取り入れるのが良いでしょう。

・過剰摂取について

カルシウムの1日あたりの摂取上限は2,300mgとされており、普段から不足しやすい栄養素なので、食事からの摂取で過剰になる事はほぼありませんが、サプリメント等で摂取しすぎると体のかゆみや吐き気、便秘等の症状が現れるカルシウム血症を引き起こしたり、鉄分や亜鉛、マグネシウムの吸収を阻害します。

5.乳酸菌

乳酸菌とは糖を分解して乳酸を生産し、エネルギーをつくる細菌の総称です。乳酸菌には多くの種類があり、乳酸菌飲料・チーズ・バターなどの発酵食品に入っています。

・妊娠中における効果

妊婦が乳酸菌を多く摂取する事で、生まれてくる赤ちゃんのアレルギーやアトピー発症率が低くなるという結果が発表されています。 便秘解消

・乳酸菌が多く含まれる食品

ヨーグルト、チーズ、キムチ、味噌、醤油、ぬか漬け 毎食減塩の味噌汁を飲む、間食をヨーグルトとドライフルーツで摂る等、毎日の食事で無理なく摂れるものが多いです。但し、漬物や調味料で摂る際には塩分が過多にならないよう注意してください。漬物類は豚キムチ等おかずの中に混ぜ込むような調理法を心がけると良いですね。チーズはプロセスチーズを選ぶようにしましょう。

・過剰摂取

腸内には腸内フローラというところがあり、入りきらなかった善玉菌はそのまま排出されるだけなので、特に身体に影響はなく、ただ無駄になってしまうだけです。

6.DHA・EPA

DHAとEPAともオメガ3系高度不飽和脂肪酸という、ヒトの体内では作ることのできない栄養素で、魚油に多く含まれています。

・妊娠中の効果

DHA・EPAは、共に似たような効果を持っていますが、EPAは特に血液や血管の健康に様々な効果があり、DHAは神経の発達に必要だとされ、脳の構成部分として成長期の脳に重要な栄養素です。 赤ちゃんへの効果として、妊娠中は胎盤を、授乳中には母乳を通して赤ちゃんに渡り、神経の発達に影響します。また、母体にとっても血液をサラサラにする事により様々な病気予防の効果が期待でき、更に産後うつを発症するリスクが減るとされています。

・DHA・EPAが多く含まれる食品

マグロ、ブリ、サバ、サンマ EPAが豊富な食品にはDHAも必ずと言っていいほど入っているので、EPAが多い食品を狙えばどちらも十分に摂取する事が出来ます。妊婦へのDHA推奨摂取量は一日1.8gとされ、焼き魚のサンマだと半分程度、イワシだと2匹程度です。

・過剰摂取

血液がサラサラになり過ぎる事により、血が固まりにくくなったり、胃腸の不調が起こったりと身体の不調がでてくる事があります。

また、DHAを多く含む食品には、水銀が含まれる食品もある為、過剰に摂る事により水銀摂取量が増えてしまう事が懸念されます。(後述)

【妊娠中に注意すべき栄養素・食品】

1.ビタミンA(レチノール)

ビタミンAは体の抵抗力を高め、皮膚などを健康的に保つためには欠かせない栄養素で、妊娠中の推奨量は670㎍、授乳中は1020㎍と、多めに摂取するよう厚生労働省が推薦しています。しかし、その一方で「過剰摂取は赤ちゃんに影響を及ぼす恐れがある」ともされているのです。 実は、ビタミンAには動物性の「レチノール」と「ベータカロチン」の2種類あり、動物性の「レチノール」は過剰摂取する事で体内に蓄積されてしまい、過剰摂取によって赤ちゃんの奇形発症率が高くなることが報告されています。

・ビタミンA(レチノール)を多く含む食品

鶏レバー、豚レバー、あんこうの肝、うなぎの肝、うなぎ これらの食品はレチノールを豊富に含み、豚や鶏のレバーに至っては100gで一日の摂取上限の7800㎍を余裕で越えてしまいます。食べる際は分量や頻度に注意して食べるようにして下さい。

・同じビタミンAでもベータカロチンは大丈夫!

ベータカロチンはレチノールと違い、身体に必要な量の栄養素以外は体外へ排出されますので、ある程度摂取しすぎても体内に蓄積される事はありません。妊娠中に必要なビタミンAの摂取は緑黄色野菜から摂るようにしましょう。

2.ヨウ素

過剰に摂りすぎると、胎児の甲状腺機能低下をまねく可能性があります。

・ヨウ素を多く含むもの

昆布、顆粒だし(昆布を含むもの)、インスタント食品、海藻類

ヨウ素の1日の耐容上限量は妊娠中の女性で2,200㎍。乾燥昆布5gには約12,000㎍含まれ、水戻しわかめ10gには190μg含まれています。 日本はだし文化で、海藻を使った料理も多くありますし、カロリーを気にして海藻サラダ等をよく食べる女性も居るので、知らず知らずのうちに摂り過ぎてしまう可能性があるのです。 過敏になり過ぎる事はありませんが、「昆布だしより鰹だしを選ぶ」、「海藻サラダは毎日食べない」「インスタントラーメンのスープを飲み干さない」程度に気を付けておくと良いでしょう。

3.水銀

魚には食物連鎖により自然界に存在する水銀が取り込まれていて、沢山食べる事で胎児に影響を与える可能性がある事が指摘されており、厚生労働省も注意喚起をしています。胎児への具体的な影響として、知力、運動、視力障害が懸念されています。

・水銀を多く含む魚

大型魚(本マグロ、クロムツ、キンメダイ、メカジキ)、クジラ、イルカ

・特に注意が必要でない魚

サケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオ、キハダ、ビンナガ、メジマグロ、ツナ缶等 厚生労働省から注意が必要な魚とその摂取量についての資料が出ています。お魚は栄養面からも積極的に摂取した方がいい食品なので、注意の必要ない安全な魚を食べる方が安心でしょう。

4.カフェイン

妊娠中のカフェインの摂り過ぎは流産や死産、胎児の発育遅延、発達障害に繋がると言われています。

・カフェインを多く含むもの

抹茶、玉露、緑茶、コーヒー、紅茶、栄養ドリンク コーヒー一杯に含まれているカフェインの量は100mgほどです。その10倍近くを毎日摂取すると流産や死産のリスクが上昇するという研究結果があります。一日一杯ほどのコーヒーや紅茶ならあまり問題ないと言われていますので、リラックスするためにも適度に楽しむのは良いでしょう。

・カフェインを含まない飲み物

麦茶、ルイボスティー、たんぽぽ茶、たんぽぽコーヒー ハーブティもカフェインは含みませんが、ハーブの中には子宮を収縮させる効果のあるものもあるので、確認してから飲むようにしてください。

5.砂糖

白砂糖を摂りすぎると代謝の際にカルシウムとビタミンB1、B2を大量に奪ってしまいます。前述したように、妊娠中のカルシウムは胎児の発育に欠かせない栄養素です。 また、糖分過多は血液をドロドロにしてしまうため酸素を運ぶ妨げにもなります。白砂糖は胎児の奇形発生の有力な原因ともいわれています。

・甘いもの選びや使用する糖分に工夫を!

そんな事を言われても、「甘いもの大好きだから辛い」「酷いつわりで甘いもの以外受け付けない!」といった人も居ると思います。

甘いものが食べたくなる方には、葉酸をたっぷり含む小豆を使った和菓子、低カロリー

で食物繊維の豊富な寒天を使ったデザートやこんにゃくゼリーがお勧めです。乳酸菌を多く含むヨーグルトを、葉酸やビタミンが豊富で甘みの強いプルーンと共に食べるのも良いでしょう。自分でお菓子を作る方は、自然の甘みが強いサツマイモやニンジンを素材として用いたり、白砂糖の代わりにミネラルが豊富で血糖値上昇が緩やかなてんさい糖やハチミツを使うなど工夫してみてはいかがでしょうか。

6.菌やウィルス、寄生虫に感染する恐れがある食品

妊娠中は免疫力が低下しているので、普段なら大丈夫なものでも食中毒にかかるリスクが高いです。食中毒になった場合、嘔吐や下痢により胎児の発育に影響が出る可能性がありますし、下痢になると子宮の収縮により早産や流産に繋がる危険性もあります。 夏場は食べ物の保存や外での飲食に気を付ける他、以下に挙げるものには特に注意しましょう。

・生魚、生貝

新鮮なものであれば問題ありません。生の貝類は特に食中毒を起こしやすく、生牡蠣などに存在するノロウィルスに感染すると、ひどい下痢や嘔吐、発熱を引き起こします。

・生卵

卵の殻にはサルモネラ菌が付着してる可能性があり、感染すると食中毒を引き起こします。しっかり加熱して食べるようにしましょう。

・生肉

生肉にはトキソプラズマという寄生虫が付着している可能性があり、妊娠中の女性がトキソプラズマに初感染した場合、胎盤を通じて胎児にも感染し、妊娠初期では流産、中期~後期では生まれてくる赤ちゃんに精神発達障害、視力障害、脳性まひ等の先天性障害を生じる可能性があります。

・ナチュラルチーズ

ナチュラルチーズは加熱殺菌していないチーズで、リステリアという菌が含まれています。妊婦さんがリステリアに感染すると、胎児にも感染する恐れがあり、早産や流産、新生児の髄膜炎や敗血症を引き起こす可能性があります。妊娠中は加熱殺菌処理をされているプロセスチーズを食べるようにしましょう。

【まとめ】

「赤ちゃんに良い・悪い」という観点から、沢山の栄養素と食品を紹介しましたが、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても一番良い事は「ストレスを溜め無い事」だと思います。 もちろん、最後の方で紹介した食中毒や感染を起こすものには気を付ける必要がありますが、サプリメント等で極端に摂り過ぎたり、極度の偏食をしない限り、日常生活で口にするものが影響してしまうといった事はありません。

「あれを摂らなきゃ」「あれは食べちゃダメ」といったように自分に制限をかけるより、毎日色んな食品から色んな栄養を摂る事が大事ですし、たまにはご褒美デザートだって良いでしょう。 今あなたのお腹の中に居る赤ちゃんとの妊娠生活は一生に一度きりです。今回紹介した栄養素を参考にしながら、「この子に色んな食材を食べてもらおう!」というようなワクワクした気持ちで2人の食生活を楽しむようにして下さい。