母乳育児、虎の巻!回数、量、飲ませ方など、我が子を愛する4つの約束

母乳育児、虎の巻!赤ちゃん・お母さんがそれぞれ得る5つのメリットと、授乳時の4つポイント)

まず初めに、母乳育児とは「母乳を飲ませて赤ちゃんを育てること」で、「完全母乳」を指した言葉ではありません。実際に、生まれてからミルクを1滴も与えず育てたという方は、ほとんど居ません。「完全母乳」という言葉自体も、ミルクを1滴も与えないという極端なものではなく、赤ちゃんとママに合わせて、より母乳を多く長くあげる方がよいという考え方です。
「母乳だけで育てたい」という思いがストレスになり、母乳が出なくなるお母さんもいます。母乳が足りず赤ちゃんの体重がなかなか増えなかったり、お母さんが体調を崩してしまった場合は無理せずにミルクと混合する事も考えましょう。様々な理由で母乳が出ない場合でも赤ちゃんがきちんと成長できるよう、ミルクの成分も研究されていますのでご安心ください。
まずはストレスを感じず、「授乳時間が楽しい!」と思えることが大切です。母乳でもミルクでも、優しく抱っこして赤ちゃんにお母さんの愛情をたっぷり注いであげる事が一番だと思います。
以上の事を踏まえた上で、ここではせっかく出る母乳を無駄なく赤ちゃんに飲ませてあげる事ができるよう、母乳の良さについてお伝えします。

母乳育児のメリット

赤ちゃんにとってのメリット

9ba56d728e83e4e5948d835a0f39570d_s

1.赤ちゃんにとって必要な栄養が含まれている

母乳には、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン類、ミネラル、ホルモン、酵素等、赤ちゃんが成長発達していくのに必要な成分が全て適量に含まれており、更に、赤ちゃんの成長に応じてその成分が変化していくようになっているのです。
産後一週間位の間に分泌される「初乳」には、後述する免疫物質が含まれる他、タンパク質やビタミン類等が成乳よりもたっぷり含まれていて、生まれたばかりの赤ちゃんに適した成分になっています。その後成乳に変化するとエネルギー消費が盛んな赤ちゃんに対応できるよう、脂質や糖質の含有量が多くなってくるのです。
未熟児を産んだお母さんからは、子宮内でその子の成長段階に適した母乳が出ると言われていて、実際に成熟児のお母さんの母乳と成分が全く違い、未熟児の赤ちゃんが不足しがちなタンパク質や電解質が豊富に含まれた母乳になっています。
また、飲み始めと飲み終わりの成分も変化します。飲み始めは糖分が多くて甘く食欲をそそり、ぐいぐい飲み進めるにつれタンパク質が増え、飲み終わりには脂肪分が多くなり満腹感を与えるという仕組みになっていて、この仕組みにより、飲みすぎてしまう事が無いのです。

2.感染予防になる

母乳は病気に対する抵抗力を強めてくれることから、「最初の予防接種」とも呼ばれています。特に、「初乳」には分泌型免疫グロブリン(SIgA)と呼ばれる免疫抗体やラクトフェリンというたんぱく質が豊富に含まれています。分泌型免疫グロブリン(SIgA)は呼吸器や消化器の粘膜の免疫を高め、ラクトフェリンは免疫調整作用により様々な細菌やウィルスに対する免疫力を高めてくれます。

3.消化・吸収が良い

ミルクのタンパク質と母乳のタンパク質は、量や組成、性質がかなり異なります。
ミルクは牛乳から作られており、胃液と反応してカード(乳餅)をつくり、固くなってしまうという特徴を持ちます。それに比べ、母乳は牛乳よりはるかに軟らかいカードを作るため、赤ちゃんの消化、吸収には最適なのです。最近ではミルク製造の技術も進歩し、母乳の成分に近い「ソフトカード」という名称のミルクもありますが、まだまだ母乳には及びません。また、母乳にはリパーゼという消化酵素が含まれていて、消化しにくい乳脂肪消化吸収を助けています。
ですので、母乳には「○時間空ける」等、飲ませるタイミングに制限はありません。赤ちゃんが欲しがっている時には沢山飲ませてあげましょう。

4.口腔周辺の発達を促す

哺乳瓶でミルクを飲む時に比べ、母乳を飲む際には顎や舌などを沢山使います。哺乳瓶の場合、吸えばミルクが出てくる仕組みになっていますが、母乳の場合は吸っただけでは出てこず、赤ちゃんは顎と舌を使って歯茎で乳頚部をしごき、射乳反射を起こさせて出てくるおっぱいを吸うのです。この一連の運動が顎の発達を促し、脳の刺激にもなって全体的な発育にいい影響を与え、咀嚼力の発達とともに正しい歯並びを作る基礎にもなります。
また、母乳を飲む際の運動は、噛む運動と似ている為、離乳食への移行もスムーズになります。

5.SIDS(乳幼児突然死症候群)を予防できる

母乳を通して母親が食べたものの匂いと味を学習する事が食育に繋がり、顎や顔面が適切に発達する事で、SIDSの予防につながると言われています。母乳が出なくても吸わせるだけで効果があるそうです。
ただし、SIDSの発症については明確な原因は不明で、「予防できる」と言われているのは、ミルクで育てられてる赤ちゃんに比べ母乳で育てられてる赤ちゃんの方が発症率が低いという報告があるためです。ミルク自体がSIDSを引き起こすわけではありませんので、神経質にならず、必要に応じてミルクも活用しましょう。

6.安心感を得られる

授乳の度にママに密着することは貴重なスキンシップになります。特に新生児の頃は1日8~12回ほども授乳回数がありますので、そのたびにママと触れ合うことで赤ちゃんの精神状態は落ち着き、心が豊かに成長するといわれています。

お母さんにとってのメリット

1.産後の身体の回復が早くなる

赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激でオキシトシンというホルモンが分泌され、その影響で子宮収縮が早まるため、産後出血が減り、産後の子宮の回復が早くなります。

2.乳がん、卵巣がん、子宮がんを予防できる

前述したオキシトシンの分泌により、エストロゲン分泌が抑制されるため閉経前の女性特有のがんが減ると言われています。

3.マタニティブルーを解消する

オキシトシンは心理的働きも持っており、動物の母親的行動に影響する事が知られていて、「幸福ホルモン」とも呼ばれています。
また、母乳を飲ませると、プロラクチンという母乳分泌に作用するホルモンが沢山お母さんの身体に生じます。このプロラクチンもまた、「母性化ホルモン」や「愛情ホルモン」とも呼ばれ、母性を作る大切なホルモンです。プロラクチンが沢山分泌されているお母さんは、赤ちゃんに夢中になります。
赤ちゃんを抱っこし、おっぱいを吸われれば吸われるほどお母さんは愛情を感じ、幸福感を得て精神状態が安定していくのです。

4.育児コストの軽減

平均的なミルク代は約月に6,500~7,500円程度かかります。このミルク代がかからないので、経済的負担の軽減になる他、調乳の手間が省けたり、外出の際の荷物が少なくて済んだりします。毎日の事ですので、メリットとしては大きいものになります。

5.産後ダイエットに良い

妊娠中は女性ホルモンの影響で脂肪を溜め易い状態でしたが、産後は分泌されるホルモンが変化し、妊娠中よりも脂肪を溜めにくい状態になっていきます。妊娠中についた脂肪は水分を多く含み、落ちやすい脂肪です。授乳することによりこの脂肪は母乳の乳脂肪に変化していくのです。そしてお母さんの身体からは無理なく脂肪が落ち、赤ちゃんの栄養に変わっていきます。母乳育児を続けていると、一日に約600kcalを消費すると言われています。これは運動で例えるとジョギング1時間以上を行って消費するカロリーに匹敵しますので、普通の食生活を送っていれば自然と痩せていく事になるのです。

授乳時の4つのポイント

rp_images-2.jpeg

1.前準備をする(食事、おっぱいケア等)

「母乳は出産すると勝手にでるもの」だと思ってる方も多いかと思いますが、実のところ全く問題なく母乳が出るお母さんは全体の約30%です。多くのお母さんが出産後母乳が出ないことに悩んでいます。できれば妊娠中から準備をすると良いでしょう。
具体的には、以下のような方法があります。
・水分を多く摂る
母乳に良いハーブティやルイボスティ等、出産前から色んな水分を飲み始めるのがお勧めです。産後は3リットル前後飲みましょう。
・血液をサラサラにする食事を心がける
母乳は血液から出来ている為、血液の質が影響します。コレステロールの高い食事ばかりだと、ドロドロとした飲みにくい母乳になってしまいますので、外食が多くなってしまう臨月あたりは和食を中心に選ぶ等、特に食事内容を意識するようにしましょう。
・おっぱいマッサージ(乳房、乳首)をする
乳房マッサージにて乳房の基底部を動かすことで母乳の分泌が促進されます。血流が良くなりリラックスしている入浴時に行うのがお勧めですが、入浴できない場合はおっぱいを蒸しタオル等で温めながら行うと良いでしょう。
乳管が開通してない場合は母乳が出にくくなります。また、乳頭が硬い状態だと赤ちゃんがうまくおっぱいを吸えません。これらの解消の為、乳頭マッサージを行います。乳頭マッサージは乳首の裂傷等の予防にもなります。
産後スムーズに母乳を出す為には妊娠28週目からのおっぱいケアが推奨されています。ただし、妊娠中のおっぱいマッサージについては「子宮収縮を促すためよくない」という意見もありますので、お腹が張り易い方や切迫早産と診断された方はあまり早い時期からのマッサージは行わず、臨月に入ってから行うようにしましょう。
マッサージは母乳が充分に出るようになったら短時間で構いません。逆に母乳の出が良い場合はそのまま何もせずに与えるようにして下さい。

2.授乳量・回数・間隔

母乳育児の場合、母乳量が目に見えないため、赤ちゃんが一体どれくらい飲んでいるのか、自分の母乳の量が足りているのか等気になってしまいます。しかし、赤ちゃんの飲んだ母乳の量を計る事は意外と簡単で、おっぱいを飲ませる前と飲ませた後の赤ちゃんの体重を計り、その差を出せばおおよその母乳の量が分かります。
生まれてから28日までの新生児の赤ちゃんの1回あたりの授乳量は、生後日数によって異なり、一般的に産まれてから1週間までの授乳量は、「生後日数×10ml+10ml」で計算されます。その後の目安としては以下の通りです。

    • 生後1週間~生後1ヶ月:1回80~120ml
    • 生後1ヶ月~生後4ヶ月:1回200ml
    • 生後4ヶ月~生後6ヶ月:1回200~220ml(5~6ヶ月頃から離乳食1回)
    • 生後6ヶ月~生後9ヶ月:1回200~220ml(離乳食2回)
    • 生後9ヶ月~生後12ヶ月:1回200~220ml(離乳食3回)

もちろん、赤ちゃんの成長には個人差がありますので、これらはあくまで目安です。あまりこだわらずに、赤ちゃんの機嫌を見ながらおっぱいをあげるようにしてましょう。
母乳の回数は、一日8~12回程度といわれています。前述したように、母乳とミルクでは消化時間に差があり、授乳回数も異なってきます。ですので、「ミルクの場合は3時間以上間隔を空ける」、「母乳は欲しがったら何度でもあげてOK」と考えておきましょう。
母乳があまり出ずミルクを足す場合は、母乳を先にあげて、足りないようなら20mlずつ足してあげるようにしましょう。ミルクを一度に沢山飲ませるのは好ましくありません。完全ミルクの場合も、3時間おきに「少ない量を回数多く」を心がけ母乳と同じような授乳リズムを作ってあげる事が大事です。

3.抱っこの仕方

1e823aa19ab546f0843a70700ea50de2_s

抱っこの仕方にはいくつか方法があります。いつも同じ抱っこの仕方で飲ませていると、飲まれやすい部分と、飲まれにくい部分が出来てしまい、乳腺炎などを起こしやすくなるからです。代表的なのは、「横抱き」、「縦抱き」、「フットボール抱き」などです。赤ちゃんの抱き方を変えるだけで、まんべんなく飲ませることが出来ます。また、傷ついた乳首で飲ませる時も、いつもと飲ませ方を変えるだけで痛みが軽減する場合もあるようです。
授乳中はお母さんの背中がスッキリ伸びている事が大切で、少し胸を張る位の感覚で良いかと思います。お母さん自身に負担のかかる抱き方は、赤ちゃんにとっても母乳が飲みづらい状態にあると思って下さい。辛い姿勢を続けているとストレスが大きくなり、母乳量に影響してしまう事があります。肩の力を抜き、クッションや枕、バスタオルなどを利用して、口の高さがお母さんの胸の高さと同じになるように赤ちゃんの位置を調節して下さい。お母さんと赤ちゃんにとって楽な方法で飲ませるのが一番です。

4.おっぱいのくわえ方

赤ちゃんの上あごには、乳窩(にゅうか)と呼ばれる独特のくぼみがあり、おっぱいを飲むときはこの乳窩に乳首をおさめるようにくわえます。乳首だけを浅くくわえると、この乳窩まで乳首が届かず、赤ちゃんはおっぱいを飲むことが出来ません。また乳首にも強い力が加わり、「乳頭亀裂・裂傷・水泡・血豆」などのトラブルが起きます。
さらに、乳首をくわえるときに、上唇が巻き込まれているような状態もトラブルの原因です。この巻き込みによって赤ちゃんはうまく飲むことが出来ません。しっかり上下の唇が開くようにフォローしてあげましょう。上手な吸い方ができていれば、分泌を促進することができるため母乳も沢山出るようにもなりますので、乳腺炎等のおっぱいトラブルの予防にもつながります。

まとめ

最初にもお伝えしましたが、母乳育児では「完全に母乳のみで育てる!」「きちんと飲ませないと!」と意識し過ぎず、まずは楽しむことが大事です。お母さんのイライラは一番近くに居る赤ちゃんに伝わり、赤ちゃんの食欲にも繋がります。平均値等にとらわれず、お母さん自身の体調や赤ちゃんの成長を見ながら二人のペースで母乳育児を行いましょう。