つわりを和らげる食事は?効果的な食べ物とNGな食べ物

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早い人では妊娠5週目頃から始まるつわり。吐き気や嘔吐をともなう食欲不振、あるいは〝食べづわり〟といわれる食欲過多といった消化器症状がよく知られていますよね。

とはいえ、妊娠初期は赤ちゃんの脳や神経、内蔵など重要な器官が形成される時期。ちゃんとバランスよく食べて栄養を摂らなければ!というプレッシャーと板挟みでさらに胃が痛い、なんてことも…。つわりの原因はいまだ特定されていませんが、精神的な要因も関係するといわれています。

少しでもつわりのつらい症状が和らいで、ママの身体だけでなく、気持ちも楽になりますように。ここではつわりによいといわれる食事や飲み物について、みていきたいと思います。

意外?! 真水・緑茶がNGアイテムな理由

お茶、コーヒー、清涼飲料水…妊娠時には口にする成分の何が良くて何がダメなのか、諸説も様々。「とりあえず、お水なら。すくなくとも害はないだろう…」と思われるかもしれませんが、実は真水の摂取がつわり症状を悪化させる場合があるという研究結果があります。

誤解しないでいただきたいのですが、妊娠によって血液量も増えますし、特につわりで嘔吐の症状がある人は脱水になりやすいので、水分の補給自体は大切です。

ですが、真水だけでは血液が薄まってしまうことから、余剰の水分は尿となり、同時にナトリウムなどの電解質も排出されてしまうことになります。経口補水液やスポーツドリンクの利用、食事で塩分を補うといった工夫も合わせて必要です。

<家庭でできる、経口補水液の作り方>

 ・砂糖40g(大さじ4杯半)と粗塩3g(小さじ半分)を湯冷まし1リットルによく溶かす。

 ・かき混ぜて飲みやすい温度にする。

 ・果汁(レモンやグレープフルーツ等)を絞ると飲みやすくなる。

緑茶はコーヒー・紅茶に比べてカフェイン量が少なく、糖質の消化を妨げるカテキンが多く含まれているので、体重増加を気にする妊婦さんにとっては悪くない飲み物…のようですが、つわりの時期には避けたほうが無難なようです。

というのも、緑茶に多く含まれるL-テアニンは副交感神経を活性させるため、リラックス効果があるといわれています。ところが、つわりが重症な妊婦ほど副交感神経活性が高いと報告がされており、緑茶を飲むことでさらに症状を悪化させてしまうおそれがあるということです。つわりの時期を過ぎてからにしたほうがよさそうですね。

妊娠したら、塩分控えめの薄味の食事がいい?

味の濃いおかずでご飯を食べ過ぎてしまい体重増加につながることや、妊娠高血圧症候群を予防する意味合いから、妊産婦は塩分を控えるよう食事指導されるのが一般的です。平時から塩分控えめの食事は健康的といったイメージもあり、食に意識の高い妊婦さんはさらに頑張って減塩に励んでしまうかも知れません。

ですが、あまりに制限しすぎてしまうと、逆に血液が増えた分必要なナトリウム量を賄いきれず、妊婦さんの骨から溶け出すことで補おうとします。その際一緒にカルシウムも骨から溶け出すため、カルシウムの血中濃度も上がります。

一方で妊娠初期には、胎児や胎盤の成長にともないマグネシウムやカリウムが大量消費され、血液中のカルシウム量に対してマグネシウムやカリウムが相対的に少ない状態になります。

このように、ナトリウムだけでなく、カルシウムやマグネシウム、カリウムといったミネラル分のバランスが一時的に大きく崩れる(専門的には『血清浸透圧が低下する』)ことが、つわりの症状に深く関係している可能性があるというのです。

また、塩分はでんぷんや糖を分解する酵素の活性に必要な塩素の元でもあります。たとえば唾液中の塩素が不足することででんぷんが分解されず、ご飯がおいしく感じられない、口の中がべたべたするような不快感が残る、などつわりの時によく聞かれる症状があらわれると考えられます。

以上から、つわりを軽くするために効果的な食事は、

・ 妊娠初期においては、塩分を制限し過ぎない。
・ 妊娠初期においては、カルシウムを摂取し過ぎない。(胎児がカルシウムを大量に必要とするのは妊娠後期)
 ・ マグネシウムの多い食品を摂る。(海草類、大豆、アーモンド、ごま、玄米等)
 ・ カリウムの多い食品を摂る。(トマト、メロン、スイカ、バナナ、ジャガイモ、トウモロコシ、カボチャ、リンゴ等)

ということがいえそうです。なお、サプリメントを利用する場合は、必ず医師と相談してからにしましょう。

妊娠したら酸っぱいものを食べたくなる?

これには、妊娠すると嗅覚が敏感になることが関係しているかもしれません。特にアンモニア臭に対する感受性が増すので、今まで気にならなかった人の体臭などが耐えられなくなり、人混みに出たくなくなるという人もいるようです。

そして、ほとんどの食品にも多かれ少なかれアンモニアが含まれています。食品を温めることでアンモニアが気化したり、タンパク質を加熱するとアンモニアその他の香気が発生するため、炊きたてのご飯や焼き魚などの臭いを不快に感じ、食べられなくなると考えられます。

ところが、ご飯に梅干しをのせたり、焼魚にレモンを搾ったりすることで、クエン酸がアンモニアを消臭してくれるので、食べやすくなるというわけです。このことから、妊娠すると酸っぱいものが食べたくなる、という通説が生まれたのかもしれませんね。

臭いで食べ物を受け付けないタイプのつわりに悩む人には、レモンやお酢の使用が有効といえそうです。ただし、逆流性食道炎を併発している場合は、酸味により吐き気が誘発される場合がありますので、食事は医師の指示にしたがいましょう。

また、食品を温めることで臭いが強く感じられるので、例えばパンはトーストせず常温で食べるなど、温度にも気をつけるようにするとよいでしょう。

不快なげっぷや胃もたれ、腹部膨満感には?

妊娠初期には血液中だけでなく、消化液中の電解質も不足に陥っています。このため、消化酵素が十分に活性されず、でんぷんの消化吸収が低下するため、消化しきれなかったでんぷんは大腸で腸内細菌のエサになり、ガスを産生します。消化しきれなかったエサが多いほどガスも増えるというわけです。

この場合は、消化を助ける酵素β-アミラーゼを含む山芋、カブ、人参、キャベツを摂るのがおすすめです。加熱してしまうとβ-アミラーゼが働かなくなるので、必ず生食するようにします。

冷たい飲み物や炭酸水は胃腸の動きを促すので、一時的にスッキリしますが、飲み過ぎは逆効果なので、一度に150cc程度にしましょう。

空腹時に気持ち悪くなるという人は、1回に食べる量を減らし回数を増やすなど、食事の摂り方を工夫するのが効果的です。

身体が必要とするものを食べたくなる?

つわりが重症化すると、高アンモニア血症と呼ばれる状態になることがあります。その場合は、タンパク質を摂取すると嘔吐しやすくなってしまいます。牛乳や卵、肉・魚が無理…というタイプのつわりの人は、こちらを疑ってみる必要があるかもしれません。まずは医療機関を受診しましょう。

アスパラギン酸塩やグルクロン酸ナトリウムの投与で改善が見込まれることから、食事から取り入れるなら以下のような食材がおすすめです。

・ アスパラギン酸の多い食品(大豆、カツオ、海苔、トマト、アスパラガス等)
 ・ グルクロン酸の多い食品(大豆、小麦、トマト、昆布)

アスパラギン酸はマグネシウム・カリウムと合わせて摂るとさらに効果的です。

なお、昆布に含まれるヨードの胎児への影響※を心配される人もいるかもしれませんが、胎児がヨードを取り込みはじめるのは12週以降といわれており、つわりが軽くなってくる頃なので、妊娠初期での摂取は問題ないと考えられます。

ミカンやイチゴなどの果物には妊婦の身体に不足がちなカリウムが多く含まれるため、自然に欲するということがあるかもしれません。また、果物の甘さの成分「果糖」は唾液による分解を経なくても甘さを感じられるため、唾液中の消化酵素活性が低下しがちな妊婦にも美味しいと感じられるようです。
このことからも、妊娠すると酸っぱいものが食べたくなる、という通説が生まれたのかもしれませんね。

こうしてみていくと、さっぱりしたもの、旨味の多い和食系食材など、そもそもつわりの妊婦が好んで食べそうなものが並んでいるようにも見受けられます。人の身体は必要とするものが欲しくなるように、うまくできているのかもしれません。

完璧を目指してストレスをためない

本人には大変つらい症状でも、つわりは病気ではないから…、個人差があるから…などと言われて、医療者にも真剣に取り合ってもらえなかったり、仕事や家事も休みづらかったり。インターネットを検索すれば、赤ちゃんのためにアレはダメ、これは食べなきゃいけない、といった情報が錯綜しています。ついつい我慢やストレスを重ねてしまう人も多いかもしれませんね。

ですが本当に何も食べられなければ、1、2食抜いてしまったり偏った食事をしてしまうのもやむを得ないこと。電解質を含んだ水分補給だけはこころがけるようにして無理をせず、気持ちも身体も休めるようにしましょう。

体重の急激な減少、脱水症状の有無が悪阻(おそ)として治療対象になるかどうかの判断の目安になるようです。1日に何回も吐いてしまい、水分も採れない状態なら迷わず診察を受けましょう。その際に「気持ちが悪い」というだけでなく、嘔吐の回数や尿の量などをメモしていくとよいでしょう。

 

※ ヨードは胎児の成長に不可欠な栄養素だが、過剰摂取し続けると胎児の甲状腺に蓄積され、先天性甲状腺機能低下症を起こすとされている。ただし口から摂取したヨードの3/4は24H以内に排出されてしまうため、含有量=摂取量とはいえない。

(参考文献:『悪阻(ツワリ)なんてこわくない 安産のための手引き』恩田威一/2013年)