つわりがない人の特徴と、原因・対策をまとめてみた

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妊娠初期につわりの症状に悩まされる方は多く、一説によると約70〜80%の妊婦がつわりを経験するといいます。ということはつまり、約20~30%の方にはつわりの症状がないということになりますよね。つらい身体症状に悩まされないで済むのはうらやましい気もしますが、つわりがなければないで「自分は普通じゃないの?」「おなかの赤ちゃんはちゃんと育ってる?」と心配になってしまう人もいるようです。世間でささやかれている、つわりに関する噂は本当なのでしょうか?そもそもつわりの原因とは?

つわりの原因

つわりの原因には諸説がありますが、いまだに特定されていないというのが本当のところです。遺伝、体質、環境、生活習慣、栄養状態、そしてその組み合わせ…といった条件が千差万別かつ複雑であるため、比較検証が困難なためです。
現在いわれている説としては、

  • 妊娠初期に分泌されるホルモン・hcg(ヒト絨毛ゴナドトロピン)が嘔吐中枢を刺激する
  • 妊娠中徐々に増加するホルモン・プロゲステロンが筋肉を弛緩させるため、胃腸の動きが弱まる
  • 胎盤ができるまでは赤ちゃんを異物としてとらえてしまい、拒絶反応が起きる
  • ホルモンバランスの急激な変化により、自律神経が失調状態になる
  • 血液量が急激に増えたり、子宮や胎盤の成長に必要な成分が急速に使われてしまうため、体内のミネラルバランスが大きく傾く、あるいは不足する

などがあります。これだけ科学が進んだ世の中になっても、なお解明されていないことが多いとは、生命の誕生にはまだまだ神秘的な部分が残されているのですね。

原因ははっきりとわかっていないものの、つわりがおさまるのはほとんどの場合妊娠12週〜15週、子宮内で胎盤が完成する頃です。胎盤が完成すると、赤ちゃんに栄養を送ったり排泄物を処理したりという作業を胎盤が肩代わりしてくれるようになるので、母体への負担が軽くなるとされています。ただしこれにも個人差があり、なかには出産直前までつわりが続いたという人もいるようです。

つわりの重い人の特徴

原因が特定できないだけに、事前に対策することが難しいつわり。体質や遺伝といったこともいわれますが、同じ人でも1人目2人目でつわりの出方が違うということもあるので、〝つわりの重い人〟という類型が存在するわけではありません。つわりの傾向や軽重は、なってみないとわからないというのが実情のようです。

なお、つわりの重いケースでは下記のような傾向がみられるようです。

  • 副交感神経系活性傾向
  • hcg、エストロゲンといった女性ホルモンが高値
  • 妊娠前から胃腸が弱い、冷え性
  • 頭を使う仕事(ストレス)が多い
  • 血清成分が高カルシウム、低ナトリウム/カリウム/マグネシウム状態

日常生活でホルモン分泌をコントロールするのは難しいでしょうが、例えば頭脳労働は短く時間を区切って休憩を多くとるようにする、ぬるいお風呂より熱いシャワーで交感神経を活性化する…など、上記から逆算的な工夫を試みてみるとつわりを軽くすることができるかもしれません。

つわりのない人の特徴

端的にいえば、上記の〝つわりが重い人の特徴〟の逆の傾向を示す人ということになりそうです。それでは、ひとつひとつみていきましょう。

規則正しい生活をしている

妊娠初期はホルモンの影響で自律神経の副交感神経系が優位となり、心や身体をリラックスさせようとする反面、注意力や活動レベルが低下するといわれています。それ自体は、流産のリスクが高い時期を安静に過ごして乗り切ろうという自然の摂理に叶っているのでしょうが、残念ながら副交感神経活性が高い人ほど、つわりが重くなる傾向にあるといいます。

その点、日頃から規則正しい生活をしている人は、意識的に交感神経活性に切り替える能力と習慣が身についているといえるでしょう。

また、これは一概には言えませんが、仕事が忙しくてつわりが気にならなかった、気がついたらつわりの時期を過ぎていたという人もいるようです。もちろん、疲れたらすぐ横になったりなど、無理は禁物ですが、ストレスのない程度の適度な緊張と、じゅうぶんな休息を意識的に切替えて生活することが、つわりを軽くする可能性はあります。

胃腸が丈夫、冷え性ではない

妊娠初期〜後期にかけ徐々に分泌が増加する女性ホルモン・プロゲステロンには筋肉を緩める作用があるため、胃腸の蠕動も弱めてしまいます。加えて普段から冷え性の人は消化器官の血行が悪いため、胃腸の働きが弱い傾向にあります。そうした人がつわりになると重症化しやすい、というのはもっともなことといえます。

その逆に妊娠前から胃腸の「基礎体力」があれば、つわりがないとはいいきれないものの、重症化せずに乗り切れる可能性は高くなるでしょう。

冷えと胃腸虚弱は密接に繋がっていますので、妊娠を意識するようになったら、冷え性の人は体質改善に努めたいですね。

運動をして体を鍛えている

体中に網目のように張り巡らされ、余分な水分や老廃物・毒素を排出する役割を担うリンパ系。赤ちゃんの分まで排泄物の処理を担うママの身体にとって、リンパの流れを良くすることは大切です。

血液は心臓の働きで全身を巡ることができますが、リンパ管にはポンプの役割をする臓器がついていません。ではリンパ液はどのように身体を巡っているのでしょう? 実は、リンパ液は骨格筋が動くことによってリンパ管内を移動し、最終的には血管に合流して老廃物を送り出しているのです。

つまり日頃運動していて筋肉がついている人、運動する習慣のある人は、そうでない人に比べると、リンパの流れがより良い傾向にあると言えるでしょう。

タバコやお酒が好き

妊娠中はニオイに過敏になることで、吐き気を催すことも多いのですが、タバコやお酒を嗜んでいた人はニオイに対する感受性がやや低下しているため、影響を受けにくいとも言われています。

つわりがないと〇〇ってホント?

「つわりが軽いと女の子」など、つわりに関する様々な噂がありますが、そのほとんどが医学的根拠はないもののようです。昔からいわれているアレコレは、妊婦さんを励ますためのものであったり、慎重な行動や注意を促すという意味合いがあったのかもしれませんね。つわりに関する噂でよく聞かれるものをいくつか取り上げてみましょう。

つわりがないと同じ血液型?

「赤ちゃんの血液型がママと同じだと、拒絶反応が出ないため、つわりが軽くて済む」というのがその理由としていわれています。いかにもあり得そうな噂ですが、残念ながら医学的な裏付けはありません。

先述したように、つわりの原因はさまざまな要因が絡み合っており、赤ちゃんに対する拒絶反応がつわりの原因と特定はされていません。また、赤ちゃんとママを繋ぐ血管の先には絨毛と呼ばれる器官がついていて、栄養や酸素、排泄物だけを漉しとって交換しています。よって赤ちゃんとママの血液が混ざりあうことはありません。

血液型は同じだったけどつわりは重かった、違ったけどつわりがなかった…といった様々な経験談もあることから、血液型とつわりの軽重に関連性はあまりなさそうです。

つわりがないと赤ちゃんに障害がある?

つわりが重い人に「つわりがある(重い)のは赤ちゃんが元気な証拠」という励まし方をする一方で生じた噂かも知れませんが、これには医学的根拠は全くありません。つわりの程度と赤ちゃんの健康度に関連はみられませんし、つわりがないと感じていた方も元気な赤ちゃんを産んでいますので、ご安心を。

多くの妊婦さんが経験するつわりがない=普通とは違うのかも?という不安から、そのような心配に及ぶのかもしれませんが、赤ちゃんの障害の有無はつわりの軽重で判断できるということもありません。染色体や遺伝子の異常による障害の可能性は、妊娠10週ごろから受けられる出生前検査で調べることができます。それでも、すべての異常がわかるわけではないのです。

ただし、これまであったつわりが急に無くなった、というような場合は注意が必要です。稽留流産の可能性もありますので、すぐに医療機関を受診しましょう 。

つわりが軽いと難産になる?

安産か難産かというのは、赤ちゃんの頭の大きさや子宮口の開き具合、いきみのタイミング、赤ちゃんの回旋(通常はぐるっと回って頭から出てくる)などで変わってくるものです。つわりの時期にはまだどうなるか予測できませんし、つわりの軽重と関連があるとする統計的データもありません。

赤ちゃんの主要な器官が作られる妊娠初期に、つわりのストレスなく過ごせるのは大変良いことですので、気にすることはないでしょう。ただ体調が悪化しないため、つい動きすぎたり無理をしてしまい、結果的に問題が起きるということは考えられますので、注意は必要です。そうした行動を諌めるためにできた噂かも知れませんね。

1人目より2人目のつわりは軽くて済む?

これにも医学的根拠はありません。むしろ2人目のほうがつらかった!1人目は吐きづわりで2人目は食べづわり…どちらも大変だった!というような声も多く見受けられますので、一概にこうということはいえないようです。

ただ妊娠の経験があり、つわりの症状でつらい思いをした方であれば、2人目以降では心構えや準備ができていて、大変と感じる場面が少なくなるということはあるかもしれません。

まとめ

いまのところ、つわりの有無や軽重、またどんなつわりがあらわれるのかといったことに法則性は見出されていません。この場合はこう、と予測できたほうが安心できるでしょうが、実際には個人差もあり、同じ人でも1人目と2人目で違うなど、妊娠ごとに違って当然ととらえるのが、現実的な態度でしょう。

情報を集めて心構えや準備をしておくのは大切なことですが、人と比べ過ぎたり、噂に振り回されて不用なストレスを抱え込んでしまうのは考えもの。あくまでも参考にとどめて、自身の体調と相談しながら心安らかに過ごすようにしましょう。